ブックエンド

本と本のあいだのあれ

『マネジャーの最も大切な仕事-95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力』

久々に更新。

色々と心機一転せなばなるまい、ということで…。

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力

 

 改めてマネジメント系の本を読み漁っているわけで、ワークライフバランスの小室さんがFacebookで紹介していたのを見て、購入。ケーススタディがベースになっており、けっこう読むのに時間がかかった。

 

本書はまず「インナーワークライフ」に目を向けることの重要性を説明する。若干話題が過ぎ去った感はあるワークライフバランスを職員一人一人の個人的(インナー)な「感情」、「意欲」、「認識」から構成される生き方とその満足度のようなものとして紹介をしている。「感情」はざっくりと快か不快か、「意欲」も内発的なものから外発的なものまで分かりやすいが、特に「認識」が見落とされがちだという。たいがい、個人の中で処理されるものであり、無自覚的な場合も多くあるからである。

 

念のため、インナーワークライフに働きかける諸要素を紹介する前に、「インナーワークライフ」が満たされた先に何があるのか。パフォーマンスの4要素として、

・創造性(新しく有用な価値を生み出す)

・生産性(着実に質の高いを仕事を成し遂げる)

・同僚性(チームの結束に貢献する)

・コミットメント(やる気を持って取り組み、妥協しない)

を挙げており、これらの向上に資すると整理をしている。

 

続いて、「インナーワークライフ」に対してそれぞれプラスとマイナスの形で働きかける要因(ファクター)が紹介される。まずは、栄養ファクターと毒素ファクターだ。栄養ファクターとは、一言で言うと「人のサポート」。つまり、尊重や励まし、感情的サポート、友好関係の構築が挙げられる。一方、毒素ファクターはこれらの対義語ともいえる、尊重や励ましの欠如、感情の無視、敵対関係などどされる。1セットが、触媒ファクターと阻害ファクターである。こちらは、「仕事のサポート」に言い換えることができ、明確な目標設定、自主性の尊重、活発なアイディア交換、必要なリソースの提供、支持に見合う十分な時間の提供などから構成される触媒ファクターと、それらに対して阻害ファクターとしての自主性の抑えつけ、必要な情報の遮断、悪い手本となること、曖昧な指示などが挙げられる。要するに、より良いパフォーマンスのためには、職員一人のインナーワークライフこそが重要であり、マネジャーとして毒素ファクター・阻害ファクターを最小化し、栄養ファクター・触媒ファクターを最大化することが重要であると指摘する。

 

ここで本書のタイトルにも戻るが、上記の内容を総合した上でマネジャーがすべきこととして「進捗」こそが重要であると説明される。つまるところ、あらゆる要因の影響を受けながらも、仕事が進む、成功を共有する、清聴を実感する、ブレークスルーをする、小さな勝利を刻む、それら細かい所への配慮と後押しこそがマネジャーの仕事であり、会社と社員のハッピーを約束するのである。