ブックエンド

本と本のあいだのあれ

『定本 夜戦と永遠-フーコー・ラカン・ルジャンドル(上・下)』

存在は気にしていたけど、その取っ付きにくさとボリュームから後だおしにしていた佐々木中の「夜戦と永遠」

 

とりあえず、先に『切りとれ、あの祈る手を-〈本〉と〈革命〉をめぐる5つの夜話』と『踊れわれわれの夜を、そして世界に朝を迎えよ』 を読んでおいてよかった。いくぶんか読みやすいそれらの内容を思い出しながら、一方で有益な新しい出会いに驚きながら読み進めた。

精神分析の祖としてのフロイトからフランスの現代哲学へのつながり、そして今日のキリスト教イスラムの対立や社会における諸問題まで深い知をかなりの速度で走り抜けるような一冊。

『世界史の10人』

基本的には勉強なんだけど、読み物としても面白く、何となく教養な読み物が欲しくてこちら。

世界史の10人

世界史の10人

 

 論語の本と迷ったけど、安定の出口会長ということで。

 

世界史の教科書に辛うじて人物名だけ登場するくらいの、そこまでメジャーではないけれども、歴史上の偉人として評価している方々の紹介。

さすがに読み物として面白いし、その時代背景や社会情勢についての解説があって読みやすい。仕事に直接活かせるかって言うと、それはそれで自分の中でうまく噛み砕いて結び付けないといけない気はするけど。

あと、個人的に面白かったのは、中国や西洋の話は日本とも関わりが強いのですっと入ってくるのに比べて、やっぱりロシアやモンゴルは少し文化的に距離があるというか、呼んでて新鮮でした。

『虐殺器官』

出張のお供にと思って、一冊。昨年度(『屍者の帝国』)からの続きということで、『ハーモニー』と悩んだ結果。 『ハーモニー』でもよかったけど、何となくおどろおどろしいものが読みたくて。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

実質的には『屍者の帝国』と地続きになっているような、民間軍事企業が跋扈するような場所において「人間が人間たる境界はどこにあるのか」ということについて、つい惹かれてしまう言葉を駆使して描かれている。

『コーランには本当は何が書かれていたか?』

このご時世にやはりイスラム教のことをもうちょっとちゃんと勉強したいと思い。

 

コーランには本当は何が書かれていたか?

コーランには本当は何が書かれていたか?

 

 イスラム学者アクラムとアメリカ人ジャーナリストのカーラ・パワーとのやり取りをもとにした本書。

俗世を超越したかのアクラムのあり方にイスラム教が宗教として存在する意味がある気がする。けれどもその一方で、本来は共同体、とりわけ女性も大切にする宗教のはずが、過激で狂信的な信者ばかりが注目を集めがちになってしまったのはなぜか。

 

宗教に限らずだけど、何かを学ぶ時にそのもの一つを学ぶだけでは不十分で、もはやそれが社会においてどんな意味があるのか、ポジティブ/ネガティブなスタンスを持っているのは誰なのか、まで拡大してみないと分からない。あまりに多くのものがブラックボックスの中にあって、消費者の眼の前に出されるのは、誰かが意図的に見せたい何かなんだろうなと。

『グーグルのマインドフルネス革命-グーグルシャイン5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス』

何となく身近なところでマインドフルネスが流行っているっぽいのと、あらためて「集中する」ことを考えたくてこの一冊。

 

 明らかに情報過多な現代社会で、どうやって情報を遮断したりコントロールしたりするかって難しくて、未来のある分野な気がする。

ヨガやちょっとしたエクササイズもなかなか実践できないけど、主体的に情報と向き合う姿勢とかは学べた気がする。

 

『たのしいインフォグラフィック入門』

一時期新しく本を買うことを控えていたこともあって、めっちゃ久しぶりな更新。

数にこだわっても仕方ないと思いつつ、50冊を目安に少しづつ更新しようとか。

たのしいインフォグラフィック入門

たのしいインフォグラフィック入門

 

 仕事の中で、好きで得意でポンチ図をよく書くのだけど、さらに最近は数字データをちゃんと活用したい欲求が出てきて、そこから自然とインフォグラフィックに関心を持った。デザイン性には課題はあれど、ひとつ自分として極めて見たいテーマ。

とりあえず、その入り口として、サンプルがたくさん入っていそうなこの本を取ってみて、期待していたほどはサンプルは多くはなかったけど、単に見せ方の話だけではなく、ピクトグラム編、図解編、インフォグラフィック編の3編構造に分かれていたので、初見でも読みやすい。図解編は振り返りもできていい感じ。

ちょっとこれから自分に作成を課してみようかと。

 

『天空の蜂』

親から勧められて東野圭吾の「天空の蜂」。

 

天空の蜂 (講談社文庫)

天空の蜂 (講談社文庫)

 

原子力発電所安全神話を揺るがすようなこの作品が福島原発事故の10年以上前に書かれていたことに驚き。基本的に、ノンフィクションの小説である以上は、その中身を政治的な主張に利用すべきではないと個人的に思うけど、この問題に関心のある人は読んでみてたら良いのではと思う。