ブックエンド

本と本のあいだのあれ

『ロレンスがいたアラビア(上・下)』

ABCをふらふら歩いていた時に、分厚い上下と魅力的なタイトルに惹かれて手に取る。

読了した後に、映画「アラビアのロレンス」も見たけれども、名作の名にふさわしく面白く、そして壮大な世界観。

ロレンスがいたアラビア(上)

ロレンスがいたアラビア(上)

 
ロレンスがいたアラビア(下)

ロレンスがいたアラビア(下)

 

IS(イスラム国)の暴挙の背景には、「サイクス・ピコ協定」があり、その裏にはロレンスがいた--ということまでは、歴史として知っていた。イギリスのスパイとして、アラブ騒乱を煽動したということは事実そのものではあるが、2つの国に立つ、ということがどれだけの苦難を彼に強いたのだろうか。また、仕事をする上では多かれ少なかれ、自分が属する組織と顧客の間に板挟みになることもある。その時に、何に対して忠誠であるべきか、非常に興味深い足跡がここにある。

 

 

『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』

久々に更新。

色々と心機一転せなばなるまい、ということでまた少しづつ再開。

 前々からリーダーシップ論的な話は好きでよく読んでいたのですが、これはワークライフバランスの小室さんがFacebook上で紹介しており、手に取った。

自衛隊という、とにかく精神的にも肉体的にも過酷、かつ失敗が許されない組織の中でどのように健全なメンタルを維持するか、そしてリーダーはかくあるべきか。面白かったのは大きく2つ。

(1)疲労を第1段階から第3段階に分類する。

第1段階=ぐっすり一晩眠れば、疲れがとれる

第2段階=イライラし、不安になりやすい

第3段階=心身に「病気」の症状が表れる

 として、この第2段階を「2倍モード」、つまり何をするにも2倍の時間や2倍の作業量が必要になる状態であると整理をしている。どうしたら第2段階にさせないかと、第2段階に陥ってしまった時にどう戦うかに多くのページが割かれている。つまり、第1段階では勝手に物事はうまく回っていくし、第3段階ではもはや手遅れであると。個人や組織の段階を捉えることが重要なことの一つである。

(2)指揮の要訣は、「掌握」と「企図の確立」

部下の「掌握」とは、「疲労しているメンバーの状態を把握すること」

「企図の確立」とは、「仕事を切ることをリーダーがしっかり決心する」

 掌握、という表現に軍隊っぽさを感じるが、それ以外にいい表現も思いつかない。きちんと把握して、握っておく、というところが短い言葉で現れているなと改めて。また、「企図の確立」というのも簡単なようで難しい。リーダー自身と担当者が確信を持って進めているものであれば容易かも知れないが、そういうものばかりでもない。何をすべきか、というところについて、見通しを持つこと、そしてそれを分かりやすい形で伝えること。うーむ。

『WORK RULES!』

仕事とかチームとか組織とかの話で、この本の名前があがっていたので。

 

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

 

 基本的にはさすがグーグル先生ともいうべき、様々な取り組みというか野心的なチャレンジの積み重ね。もちろん今や絶大なる資源量なわけだけど、やっぱりそれを維持できることと文化を守ることとは背中合わせだったのだろうと思った。

雇用環境が大きく異なるけど、仕事の捉え方ってそんなもんだよなと思い返してばかりでしたまる

『下下戦記』

NHK水俣病の特集があって、それに対してさる方がTwitterで本書に言及していたので、即アマゾン。

下下戦記 (文春文庫)

下下戦記 (文春文庫)

 

 圧巻の内容。

水俣病をはじめとする日本の公害について、仕事を通じて学びを深めてきたつもりだったけど、やはり限られていたと改めて。

裁判が終わって補償協定がなされた当時の「若い世代」の現実。ちょうどこの本を読んでいた時に、世間でも障がい者の人権が脅かされる事柄が起きたので、なおさら考えた。お金で補償されるものは、もちろんそれはそれで存在するだろうが、勤労のやりがいや恋や性欲、そういったものはなんら解決されなかった。

公害反対運動や被害者の立場を見る時だって、言い方は良くないが、いつも「大きな声」がまず耳に入る。では、「小さい声」はどうなのか。より大きな問題解決のための犠牲なのか。下から社会を見る、そのことを失ったらおしまいだ。

『ミライの授業』

本から離れていたわけではないけど、ちょっとご無沙汰。

 

ミライの授業

ミライの授業

 

 瀧本さんと言えば、『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友達はいらない』といったような戦略のプロ、ロジカルシンキングの鬼のような勝手のイメージを持っていたけど、本書は14歳に向けた特別講義の記録。

歴史に名を残した人も、いわゆるエリート街道まっしぐらの人ばかりではなく、当時いかに常識から離れていたか、もしくは評価されていなかったかを絡めながら、ミライの作り方を教えてくれる。

アラン・ケイが残した「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」という言葉がそのとおりだと思いつつ、14歳前後の子が自由に何かに一生懸命になれる社会に近づけないといけないと思うなど。

『戦争と一人の作家:坂口安吾論』

またじっくり読みたくて佐々木中

坂口安吾をちゃんと読んだことがなかったので、あらかた代表作だけでも読んでからがよかったか。

戦争と一人の作家: 坂口安吾論

戦争と一人の作家: 坂口安吾論

 

 坂口安吾を語る佐々木中を読んでいると、哲学することと著述することとの切っても切れない関係性を見る気がする。作家と呼ばれる人の全ての人がそのような表現を試みているわけではないと思いつつ。

また、軍国主義から大戦への突入し降伏するまでの間、平時からしたらとんでもなく馬鹿みたいな事柄に対して、多くの知識人が抗ったり、恭順したり、また筆を折ったのだろうと思う。そういう意味ではとても貴重な記録でもあるような気がする。一読しただけでは、何らか分裂的な思考を抱えていたのではないかと思ってしまうが。

 

巻末に付録されていた「爆心地の無神論者-『はだしのゲン』が肯うもの」は興味深く読めた。小学校か中学校の図書館で読むものといえば、『はだしのゲン』だった。そして、現役の大統領が広島を歴史事情初めて訪問したことは大変な騒ぎだった。これもいわば漫画という出口なだけであって著述であり、哲学だと受け取った。政治の善悪を語る気はサラサラないが、歴史の証人が残したものを蔑ろにするのは罪だと思う。

『ぷしゅ よなよなエールがお世話になります』

元々よなよなエールが好きだったこと、それと誰かが優れたビジネス書として紹介していたのを見て読んでみた。

ぷしゅ よなよなエールがお世話になります

ぷしゅ よなよなエールがお世話になります

 

 ヤッホー・ブルーイングの社長でありながら現場からの叩き上げ社員ということで、とても読みやすい。母体である星野リゾートの星野佳路社長との関係や楽天にオープンしたお店の店長としての当時の楽天との関係など、結局仕事の大部分は人と人との関係性によって説明がつく気がする。もちろんコンテンツたる事業内容や数字のお話も重要ではありつつも。

 

しかし、これを読み終わると、ローソンに寄って何かしらを買ってしまうのを免れない気がする。